テスカトリポカ 佐藤 究 

読んだ本の紹介です

第165回 直木賞 受賞作品です

書名:テスカトリポカ

著者:佐藤究

発行:株式会社KADOKAWA

第34回 山本周五郎賞も受賞している作品です

funyanya的感想です

直木賞受賞作ということで、期待して本屋に行きました。
直木賞は今回2作品受賞で、もう一作の方はすでに本屋に並んでいて、前に読みました。
この本は直木賞発表すぐには本屋にはありませんでした。先にもう一作を読み、この本を楽しみに待っていました。
 しばらくしてついに入荷され、帯を読んでみるとなかなかの内容だなと思わせ、少し迷いましたが、好奇心の方が強く買って帰りました。
 う~ん、興味深い内容ではありました。アステカの神々がでてくるかと思えば、日本が舞台にもなっていたりするし、海外もでてくる。様々な環境で生まれ育った人たちがそれぞれの考えを持ち現在を生きている、その生き方の中でそれぞれが結び付き、利用し、それぞれの生き方のために、思惑のために動いていく。途中から止まらなくなりますよ。
 最近、私は本を読む際にその舞台の土地を地図帳なりで確認しながら読むのが楽しみにもなっているのですが、今回はメキシコがでてきました。
 初めて知りました、西部劇が好きな方でなくてもご存じかと思うのですが、“リオグランデ”川の名前だったのですね、リオグランデ川と地図帳に見つけた時はしびれました、砦かもしくわ地名かとおもっていたのですが川だったとは。しかも国境の川ですね。そして接しているのはテキサス州西部劇ファンにはたまらない土地です。一度は自分の目であの砂漠地帯を馬で歩き旅をしてみたいものです。
 話が全く違う方向に行ってしまいましたが、あくまでも本の中だけの世界だなと信じたいような世界でした、欲しがるお客様のために“商品”を安全安心な補償をつけて販売する。この“商品”が問題なのですが、ありえそうな話です。しかもその標的となるのは、現代日本でも問題となっているような人々をターゲットとしているなんて。いけないことなのは百も承知の上でも実行する。
 そしてまたこの本の中で感じたのはファミリー、家族のつながり。血がつながっているだけがファミリーではない、もちろん血縁関係のファミリーもとても強いつながり。でもそれだけではない、一つの目的もしくは信念とも呼ぶべきものを心のよりどころとして強烈につながっていこうとするファミリーの姿があった。でもそのファミリーの中でも全員が同じ信念を持っているわけではなく、根本にある自分自身が育ててきた信念の方向の中である一方向はファミリーと共有できるそんなファミリー。
 今世の中はコロナで人に気軽に会うことすらできないような、環境で人々はつながりを求めて、ネットを利用している人も多いはず、その中にはある一方向もしくは一面だけが共有できる人とのつながりだけを求めているのかもしれない。その人個人では全ての面で共感はできないけれど、
 いってみれば都合の良いつながり、共有しながらも全く違う方向に向かって進んでいる。だから当然行き着く先は全く違うし、手段も違ってしまう。
 ファミリーとして普段は生きているが、根っこまでのつながりが本当に一緒なことは少ないのかもしれない、たとえ家族だとしても。それが今の家族の形なのか、昔から実はそうだったのか、わかりませんが、個人が尊重される今では共有できる部分がある集まりを家族とも呼べるのかもしれませんね。

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